サンケンブログ
2020/03/03

不動産投資におけるオーバーローンとは?セミナーで語られる投資の裏技

今回は前回の補足的なお話しなってしまいますが、セミナーで語られる投資の裏技(オーバーローン)の事についてです。

 

不動産投資をお考えの皆さん、オーバーローンという言葉を聞いたことがありますでしょうか。

オーバーローンとは、資金運用中の現金支出に対応するために、家や土地など不動産の物件価格よりも多くお金を借りることなのですが、実際どういったものなのでしょうか。

今回は、オーバーローンという手法の内容とその危険性について見ていきたいと思います。
 


・投資元金は自己資金か借り入れか
 
まず、投資を行う時に最初に意識しておきたいのが、投資を自己資金で行うのか
借り入れで行うのかということです。

自己資金で投資を行う場合には、資金のどれくらいをどこに投資するのかという、資金配分が重要になってきます。

 

自己資金では、借り入れのように収入と返済のバランスを考えたり、借り入れ利子の支払いを考えたりする必要がないので、運用の面では楽なのですが、不動産の投資ができるようになるには相当多額の資金が必要なので、そもそもの資金調達のハードルが高いのです。

 

なので、あまり現金は持っていないけれど、収入は高水準で安定しているという場合には、借り入れによる投資が有効になります。

これは投資用の資金を銀行から借りて資産運用を行い、運用利益を収入として得るパターンです。

 

この方法ですと、銀行の借り入れ審査を通過することができれば投資を行うことができるので、手元に現金がなくても資産運用が始められます。


 
・不動産投資の利益
 
不動産投資の場合にも、銀行からお金を借りて資産運用を開始し、
家賃収入を運用利益として得るというパターンが使えます。

 

しかし、ここには二つの問題点があるのです。
 


それはまず、売却額が購入額よりも高くならないということです。

 

不動産の場合には、築年数が長ければ長いほど一般的に物件価値は下がってきますので、売却額が購入額よりも高くなるということはまずありません。

 

株やFXなど、他の資産運用方法の場合には、売値と買値の差額で利益を得る、キャピタルゲインというものが期待できますが、不動産にはこの利益が期待できないのです。

 

投資においてキャピタルゲインは期待収入源の一つなので、この点を押さえておく必要はありますね。



そしてもう一つが、ある特定の場合に限っては運用利益も期待できないということです。

分別のつく方であれば、「売却による利益も出ないのに、運用益も期待できないのはおかしい」と気づかれるかと思いますが、実際にこういったケースが数多く存在しているのです。

 

どういった場合にこのような状態になるのかと申しますと、ワンルームマンションなどの利回りの低い物件を、銀行からオーバーローンをして購入している場合です。

 

ワンルームマンションは、投資用物件の中でも比較的価格が安く、年収が1,000万程度あれば借り入れのローンを組める、初心者向けの物件だと言われています。

 

比較的安価で手に入れやすく、投資セミナーに行っても真っ先に勧められるお手頃な物件なのですが、月々の収入から管理費や修繕費など諸経費を引いた残額はごくわずかで、利回りがよくない物件だとして知られています。

 

さらに、銀行からの借り入れを行って、毎月の利子支払いがある場合には、月々収入を得るどころか、むしろ1~2万円支払うなんてこともあるのです。


 
・投資の裏技オーバーローンとは
 
この利回りの低い物件をオーバーローンして借りると、どうなるでしょうか。

 

オーバーローンを行うのは、基本的に月々の収支がマイナスになってしまうことを見越した場合なので、今回はオーバーローンによって余ったお金を、すべて月々の支払に充てると仮定します。

 

そうしますと、月々の収支はプラスマイナスゼロになり、運用期間中の支出はなくなります。



しかし、この途中で現金が必要になり、物件を売りたくなったとします。

 

あなたは物件を売ってできるだけの現金を取り戻そうとしますが、万が一物件の価格が購入時から変わっていなかったとしても、ローンのオーバー分の借り入れがひっかかり、物件を売れない状態になってしまっているのです。

 

これは抵当権という保証の問題なのですが、不動産投資や住宅ローン用に借り入れを行う際には、その投資先の家や土地そのものが担保となっており、元金を返せない場合は物件を売却することができないのです。



さらに、先にもお話ししましたように、物件の価格が購入時から変わっていないことはほぼありませんし、まして上昇していることなどありえません。

 

なので、物件を売却したと思った時には、物件の見積額は下落し、必要な返済額は上昇しているはずです。

 

そして、投資セミナーなどで語られる「最後には自分のものになる」という言葉ですが、これは毎月の利益を物件の購入借入額の返済に充てていって完済した時に達成するもので、利回りの低いワンルームマンションではもともと難しい話ですし、オーバーローンを組まないといけないような不良収支では到底叶うものではないのです。


 
いかがでしたでしょうか。
手持ちの現金が少ない方でも投資を可能にしてくれるように見えるオーバーローンですが、
そのお金はいつかあなた自身が返さなくてはならないものなのです。

 

今回お話ししたケースは極端に収支が悪いケースですが、ワンルームマンションでそこまで収支が上手くいくことはほとんどありません。

不動産投資においては月々の収入と支出のバランスを確認し、しっかりと返済の見通しを立てることが重要です。

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